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Chaotic Neutral

左にも右にもよらず、自由な生き方探し。

思想の中核と辺縁 ― 前置き


4世紀末頃から14世紀末頃までの約1000年が、ヨーロッパにおける中世だ。この頃、ヨーロッパは比較的貧しかった。

11世紀のイスラム圏では医学も進歩していて、外科手術も行なわれ、精神病院さえあった。イヴン·シーナーの医学書は、後のヨーロッパで17世紀まで大学で使われていた。

制度としての社会福祉が誕生したのも、バグダッドにおいてのことだ。

当時のヨーロッパで、最も多くの蔵書を保有していたのは修道院で、1つの修道院に5冊くらい本があった。一方、イスラム圏の大都市バグダッドでは数千冊の 本を売る書店がいくつもあった。イスラム圏では古代ギリシア人の著作物が大量に流通していた。多神教的な古代ギリシアとイスラム文明はもちろん、相容れな いはずだったが、当時のイスラム圏で世俗と宗教はかなり分立していたことになる。現実をさほど強引に理念に合わせようとはしなかったのだ。

西ヨーロッパの近代化に大きく貢献した人物の1人に、マルティン·ルターがいる。彼はカトリックに挑戦し、プロテスタント教会諸派の源流を作った。これに より、カトリックは相対化され、政治は教会と距離を置くようになり、理念的だった西ヨーロッパは経験的になった。イスラム圏が持っていた大量の書物がアラ ビア語からヨーロッパ諸語に翻訳され、ルネサンスの肥やしとなった。そしてヨーロッパとイスラム圏の実力はやがて逆転した。

社会において思想を実践しようとするときに、色々なことがうまくいかなくなる。思想と社会の現実はどこかで矛盾する。そこで理念的に ― 時に暴力などの強制手段を用いて ― 物事を思想に合わせようとするのか、それとも、経験的に妥協点を探るのか、そのあたりが社会における思想の最大の問題だ。社会思想に関する主要な問題は、 思想の中核にではなく、辺縁にあるのである。

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