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Chaotic Neutral

左にも右にもよらず、自由な生き方探し。

思想の中核と辺縁 ― 国学について ― I


 国学は元来根なし草です。
 日本という国の文化そのものは、遺伝的にも多様な源を持つ人々が、アジア地域の様々な文化を吸収し、自らの文化に同化させていった結果です。その日本文化から外来の要素を削り取っていくと、もうほとんど何も残らない。なにしろ、天皇家の伝統すら、外来要素なんですから。
 国学の中でも学問としてある程度まともな実証主義的な派の研究成果は、現在の国語学などに残っているのですが、これもあまり流行らない。研究成果が注目されないだけではなくて、研究することそのものが放棄されているという感じがします。
 そういうこともあってのことなのか、例えば、伝統的に正しい「紅茶でよろしかったでしょうか?」が間違いだと見なされ、駆逐されつつあります。時間的な距離感を表わす過去形で、空間的な距離感も表現するのは細やかな言語感覚の表れですが、このような表現を擁護するのは、国学者ではなく、主に社会言語学者の仕事になっています。

単に国の、つまり日本の、という特別な学問にするのではなく、歴史学、言語学、文明・文化学(社会学といっても良いかも知れませんが)、社会学の世界史的な流れのなかの1つ、と位置づけた方が良いかも知れません。

世界文明の1つとして位置付ければ、他の文化と比較したり、アジアの流れの中でアジア文明として捉えれば、また面白い視点が出てきて、興味がもたれそうです。

実のところ、日本の伝統とは!とか日本の根幹思想とは!または、日本の正しい文化や言語とは! という方向性で探して行っても、むしろ迷子になるだけでしょうね。
ご指摘の通り、言語は常に変化していて、以前、正しいとされていたものも現在では正しくないとされたりもします。
言語も文化も、社会形態(風習・政治・経済)もそうですが、時代や場所によって同じ日本という括りの中でも様々な違いがあります。


>そういうこともあってのことなのか、例えば、伝統的に正しい「紅茶でよろしかったでしょうか?」が間違いだと見なされ、駆逐されつつあります。時間的な距離感を表わす過去形で、空間的な距離感も表現するのは細やかな言語感覚の表れですが、

ご注文はこちらでよろしかったでしょうか?

という言い方が、実は伝統的に正しかった、という事は存じませんでした。

この言い方は、まだ注文を決定する前に確認するべきでは? と違和感を感じましたが、過去形にする事で距離感を、また長くする事で丁寧さを出す試みのようにも思えました。
別の例では、ご注文の方、お決まりでしたら・・・の「方」ですが、これには言葉を長くする事により、名詞で断続したイメージがなくなり語調も整い丁寧になる、という側面と、直接にそのものに言及するのではなく、「方」という距離感と曖昧さを出す事によって、はやり丁寧にする、という側面があるように思います。

ご存知かもしれませんが、英語にも似たような表現法があって、相手にものを聞くとき、Would,Could などを使って、距離感を出し、要請、質問との距離感を演出し丁寧さを出そうという例があります。


全然良いと思うよ、という言い方は、明治・大正などの文学の中で散見されますし、ご苦労さまでした、というのを目上の人に使う方法も時々見られました。
また、申す、お前、貴様、なども予測ですが、以前は尊敬語としての機能を持っていたのだろうと思われます。

「何を申されます」のような表現を、古い物語、または老人の話し方として時々、テレビなどで耳にしますが、これは謙譲語の誤った方法、という訳ではないでしょう。
お前、貴様などは、「お」がついてたり、「貴」や「様」がついているため、少なくとも相手を侮辱するための言葉ではなかっただろうと思われます。

また、「ら」抜き言葉が取り沙汰されますが、そういう事で言えば、
「書ける」も「書かれる」でしたし、「話せる」も「話される」でした。
それらが意味が通じて、更に言いやすいために、書ける、話される、と簡略化されていったその歴史の流れの中での、1つとして、「食べられる→食べれる」のような変化も出てきたのでしょう。

実に、「若者の言葉の乱れ」を原理的に強く主張する人は、実は彼らが想定する正しさは、「その人々の育った、一時点での言葉の在り様」であり、「それよりも少し時代が遡っても、進んでも、それは認められる事ではない」という主張と同義であったりもします。

言葉は、通じれば、そして品性を保っていれば、ある程度ゆったりとした、柔らかい範囲のルールを持つ方が、精神的にも、コスト的にも良いように思います。

  • 2009年12月20日日
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