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Chaotic Neutral

左にも右にもよらず、自由な生き方探し。

Windows Powershell ― dir -recurse


私のコンピューターのディレクトリH:\temporaryにはファイルがたくさん入っている。

ディレクトリの中のすべてのディレクトリとファイルについての情報を取得するために、Powershellでは
dir -recurseを使うが、重い。試しに、measure-command{dir -recurse}をやってみると、

PS H:\temporary> measure-command {dir -recurse}


Days : 0
Hours : 0
Minutes : 0
Seconds : 23
Milliseconds : 71
Ticks : 230715303
TotalDays : 0.000267031600694444
TotalHours : 0.00640875841666667
TotalMinutes : 0.384525505
TotalSeconds : 23.0715303
TotalMilliseconds : 23071.5303

約24秒。

まあまあに見える、dir -recurseで既にこれだけかかっているのだから、先が思いやられる。

さて、今度は、ディレクトリの中のディレクトリだけを取得してみる。

PS H:\temporary> measure-command{dir -recurse | ?{$_.Mode[0] -eq 'd'}}


Days : 0
Hours : 0
Minutes : 1
Seconds : 51
Milliseconds : 108
Ticks : 1111088565
TotalDays : 0.00128598213541667
TotalHours : 0.03086357125
TotalMinutes : 1.851814275
TotalSeconds : 111.1088565
TotalMilliseconds : 111108.8565

取得したディレクトリの数は162個なのに、かかった時間は2分近い。旧コマンドプロンプトでは約4秒だったことを考えると、機能の充実ぶりを考慮しても、これはいただけない。

そこで、ディレクトリだけを高速で取得する関数を書いてみた。

function global:flistd{
$aList = @()
$aList += dir | ?{$_.Mode -like 'd*'}
$i = 0
while($aList[$i]){
$aList += $aList[$i].GetDirectories()
$i++
}
$aList = $aList | sort LastWriteTime
return $aList
}
PS H:\temporary> measure-command{flistd}


Days : 0
Hours : 0
Minutes : 0
Seconds : 4
Milliseconds : 192
Ticks : 41929840
TotalDays : 4.85299074074074E-05
TotalHours : 0.00116471777777778
TotalMinutes : 0.0698830666666667
TotalSeconds : 4.192984
TotalMilliseconds : 4192.984

驚きの約4秒!

所要時間は1/30くらいにまで短縮された。

同じ要領で、dir -recurseまで高速化してみた。

function global:flist{
$aList = @()
$aList += flistd
$aTemp = dir | ?{$_.Mode -notlike 'd*'}
if($aList){
foreach($i in $aList){
$aTemp += $i.GetFiles()
}
}
$aList += $aTemp
return $aList
}
PS H:\temporary> measure-command {flist}


Days : 0
Hours : 0
Minutes : 0
Seconds : 6
Milliseconds : 731
Ticks : 67318628
TotalDays : 7.79150787037037E-05
TotalHours : 0.00186996188888889
TotalMinutes : 0.112197713333333
TotalSeconds : 6.7318628
TotalMilliseconds : 6731.8628

ファイル数は14094個なので、所要時間が約7秒ってのは神速!

Powershellにはまだまだ最適化の余地がたっぷりある。

経済思想と経済の実体 ― 所得税について


所得税の累進性は強いほどいい。

高額所得者に対して所得税率が極めて高く、所得税に対する法人税率や株売却益課税率の落差が大きいほど、会社で働いている高額所得者が起業家や投資家になろうとする動機は強まります。実際、北欧経済はそれで強いのです。

高い課税率を避けるために、起業や投資ではなく、海外移住を選択する人もいますが、これは全く問題ありません。

所得は誰かからもらったお金です。

例えば、日本人野球選手が日本で活躍する場合、そのお金は主に日本人観客からもらったお金です。日本人野球選手がアメリカの大リーガーになった場合、その選手の所得の主な源はアメリカ人観客のお金ということになり、日本経済にとっては全く何の問題もありません。

日本の大会社の高給取りがアメリカの大会社の高給取りになっても同様です。

音楽 ― ヘルベルト・フォン・カラヤン


カラヤンを嫌う人にも、最初はカラヤンを好んでいた人が多い。

カラヤンは本当にある意味素晴らしい。

ドイツ人とロシア人はパスバンドが広く、他の民族にはよく聴き取れない音も聴き取ることができます。

日本人はパスバンドが狭いため、クラシック音楽を聴く習慣のない日本人に、ドイツ人の心の中で響く音になるべく近いものを聴かせようと思ったら、日本人にとって聴きづらい波長域の音を増幅する必要があります。

カラヤンはある範囲の波長域を非ドイツ系向けに調整した、と私は確信しています。

ローカルにしか響かなかったドイツ音楽を、カラヤンはグローバルに響かせました。そして、「奇跡のカラヤン」と讃えられました。

ところが、誰しもある程度クラシック音楽を聴く経験を積むと、それ相応に耳が鍛えられてくるので、今度はカラヤン的な増幅を好まなくなってきます。

あなたが昔はカラヤン好きで、今はカラヤン嫌いなら、あなたもまた、カラヤンに育てられた聴衆の一人なのでしょう。

宗教と神秘主義 ― 強い唯物論、弱い唯物論


哲学的な意味での唯物論における「物」は、時空間上に位置を持っている。

ユダヤ教やキリスト教の「神」は「天」という空間にいるので、哲学的な意味では「物」であり、万物の起点が物である以上、ユダヤ教やキリスト教は唯物論宗教ということになる。キリスト教をベースとした中世スコラ哲学でも、例えば、個々の人間の存在は一般イデアに依存せず、それ自体として存在し、私たちの心にある人間についての概念は「唯の名前に過ぎない」という唯名論としても表現されている。

日本の神話が唯物論神話であることは、もはや、いうまでもなさそうだ。

伝統的な宗教も、最近の「スピリチュアル」も実は大差がない。霊魂が何かに宿るならば、霊魂は時空間上に位置を持っているのだから、「物」ということになる。

「物」の存在の確認において、堅牢な一般合意 ― 科学的な証明など ― を要求するのが「強い唯物論」であり、通俗的な意味での「唯物論」になる。一方、堅牢な一般合意を要求しないものが「弱い唯物論」であり、通俗的な意味での「宗教」や「スピリチュアル」になる。

弱い唯物論であるキリスト教と強い唯物論であるマルクス思想の間の隔よりも、唯識論と唯物論の間の隔たりは大きい。

唯識論~唯物論のスケール上に宗教の神格を配置すると、多分、以下のようになる:

唯識論

  • 老子の「道」 ― 位置、数と量、形体を完全に超越し、森羅万象の営みに介入しない。(再帰的に定義されている。)
  • プロティノスの「一者」 ― 位置、数と量、形体を完全に超越し、森羅万象の営みに介入しない。(列挙的に定義されている。)

  • アリストテレスの「第一動者」 ― 森羅万象(「円環」)の最外部に位置し、量と形体を超越し(「大きさと部分をもたない」)、森羅万象を起動し続ける。
  • ムハンマドの「アッラー」 ― 森羅万象を創造かつ維持し、暗に部分を有し、人間の営みに介入する。
  • モーセの「イェホヴァ」 ― 森羅万象を創造し、暗に部分を有し、人間の営みに介入する。
  • キリストの「父なる神」 ― 森羅万象を創造し、父性を有し、明らかに部分を有し、人間の営みに介入する。
  • ギリシア神話の神々 ― 森羅万象から生まれ、人間と同様に個性と性別を有し、人間の営みに介入し、また、人間からある程度の影響を受ける。
  • 日本神話の神々 ― 森羅万象から生まれ、人間と同様に個性と性別を有し、人間の営みに介入し、また、人間からかなりの影響を受け、徐々に劣化する。(ついでにいうと、天皇位の継承に血統が絶対なのも、日本の思想体系に強い唯物論が色濃いことを示唆している。)


唯物論

//

水平線は唯識論と唯物論の境界。各種「スピリチュアル」ってのは、キリスト教と日本神話の間に散りばめられている。

投資理論 ― 火の投資


これらの条件をすべてを満たす会社はほとんどないが、できるだけ多くを満たす会社に、極長期で投資したい。

これらの条件をすべて満たす会社は、市場全体の株価下落に際しても、被る影響は軽微であり、株主利益の追求の優先度は低いにもかかわらず、平均的な会社の15倍ほどの収益を株主にもたらすと思われる。

  • 会社の存続が株主の収益よりも優先されている。

    株主の収益を最優先する会社は、多くの株主に大きな収益をもたらすほど成長する前に、社会から退場してしまう。

  • 経営最高責任者は会社内部から起用された人である。
  • 経営最高責任者はその地位を最初は望まなかった人である。

    経営最高責任者を外部から起用しなければならない会社は、内部での不具合を自ら修正できなかった会社である。

    経営最高責任者が目立つ会社は、大きく成長しないか、あるいは、大きな失敗をする危険性が大きい。

    経営最高責任者が自らの意思決定や判断を労働として大きく投下しなければならない会社は、組織としてどこかに不具合があるかもしれない。

  • 意思決定が遅い。

    平凡な会社が競争の中で生き残るためには、会社の意思決定が速くある必要がある。しかし、独走中の会社は、意思決定が遅くても生き残る。意思決定が遅くても生き残っている会社であれば、独走中であることは間違いない。

    理想をいえば、経営者が株主に対して、憚りなく「我が社の意思決定は遅い」といえるくらいがいい。こういう会社は、経営者と従業員の間の所得格差も小さくなります。

  • 再建当初あるいは設立当初、事業の将来像について、株主も経営者も従業員も明確な考えを持っていなかった。
  • 再建当初あるいは設立当初の製品とは別の製品でも、成功を収めている。

    会社の長期的な成功は、株主、経営陣、従業員のすべてをひっくるめて組織としての成功である。一方、ある時期の経営者の誰かの素晴らしい案で想定外に成功することで、かえって組織としての発展が妨げられることが少なくない。

    組織として質の高い会社は、当然、当初の製品とは別の製品でも成功する。

  • 複数の大手から注文を受けてきた。

    複数の大手から注文を受けている会社は、経営の独立性が高い。他の会社の子会社であれば、親会社の都合により、芳しくない条件での仕事を強いられるし、たった1つの大手からの注文に応えている会社は、結局、下請けをこなしているにすぎないため、子会社でなくても、経営の独立性は低い。

    優れた技術を有し、組織としても完成度の高い会社は、資本のより大きな会社のいいなりにはならない。

  • 自社の製品が何に使われるのか知らなかったことがある。

    これは、会社の従業員の技術力が非常に高いため、営業努力をほとんどあるいは全く必要とせずに売れていく製品があるということを意味する。

  • 取引所への上場を強く意識してこなかった。
  • 取引所へ上場されたとき、既に何らかの分野で占有率が世界第1位である。

    技術力と組織としての質が高い会社は、上場を急がない。

    競争を避け、独走中であり、上場を急がなかった会社は、結果として、上場時に世界第1位になることがある。

  • 事業モデルが単純である。
  • 社内で報告を重視するが、連絡と相談の徹底をあまり強く求めない。

    経営者が凡庸でも成功できる会社は、天才的な経営者を必要とする会社よりも成功する。

    平凡な会社で、上司が部下に連絡をしつこく求めるのは、部下を信頼できないから。

    平凡な会社で、部下が上司にやたらと相談するのは、部下が問題を解決できないから。

資本主義と強い唯物論に疲れちゃった我々


まあ、まず乱暴に前提を提示することにする。我々は資本主義と強い唯物論にかなり疲れていて、「スピリチュアル」なもの ― その大部分は、弱い唯物論なんだが ― に嵌りやすくなっている。

特攻隊も、オウム事件も、日本人にとって決定的な教訓にならなかった。

細木和子のヤクザ風スピリチュアルが一世を風靡し、その後、社会状況が厳しさを増したら、今度は江原啓介と美輪明宏のオカマ風スピリチュアルが人気を集めている。スピリチュアルな説教屋がここまでテレビで稼げた時代があっただろうか?

アメリカのブッシュ大統領すら、スピリチュアルなキリスト教原理主義に嵌ってる。彼もまた、疲れちゃった人なんだよ。

そして、スピリチュアルブームの陰で、見過ごされる問題もある。

イスラム圏ではまだまだ女子に対する割礼(女性器をがさっと数センチも抉る残酷なもの)が行われたり、恋をした罪で少女が家族に焼き殺されたりするような地方もあり、1990年代までは人権擁護運動でこのような問題への対処が熱心に試行されていたが、今では少なくとも日本社会でこのような問題への左派(自由主義的社会主義勢力)の批判精神は減退してしまっている。イスラム教もスピリチュアルだからね。

チベット問題ではもちろん、中国に弾圧されている人々の人権を擁護するための努力は必要不可欠だ。しかし、スピリチュアルな亡命チベット政府に肩入れするのはまずい。(この亡命チベット政府に寄付でもした人がいるんじゃないかな? なんせ、これを書いている私もそうしたことがあるくらいだから。他人事じゃなくて、私も疲れてる。)

スピリチュアルな人が善人だとは限らない。

疲れちゃってる我々は、「スピリチュアル」なものに対して本来は当然である疑念を意識的に自らの内部に喚起しなくては、善悪や利害についての判断を大きく間違えてしまうことがある。

ところで、童話とか、東西の神話とか、『ロード・オブ・ザ・リング』とか、組織的な信仰に頼らずとも長く愛されてきたファンタジーものは、スピリチュアルなものの魅力と危うさをそろえて教えてくれる。邪悪な魔法使いが登場するのを忘れちゃいけない。

チベット案件 ― ダライ・ラマ


(転生を信じようと信じるまいと、ダライ・ラマを語る上で、転生のことは避けて通れません……なぜならば、)

ダライ・ラマ自らが、転生を世俗の政治のおいても、権威と権力の源としているからです。ダライ・ラマ5世と14世が同一人物であるという主張の科学的(あるいは、超科学的)証明の成否にかかわらず、14世自らが5世と同一性を政治的に主張したからには、5世までのダライ・ラマが作った農奴制を何とかする責務を自ら引き受けていたことになります。

また、逆に考えると、チベットがイギリスや中国の支配に屈してきたことには、チャールズ・ベルやシモーヌ・ボーヴォワールの手記などによって、農奴制の実態が外国にも知られるようになったことが影響しているとも考えられます。イギリスや中国はチベットを実効支配することを正当化できる理屈を容易に作り出すことができたのです。(これは、クウェートに侵攻したり、クルド人を虐殺したフセインが独裁的に支配するイラクを攻撃する理由を、アメリカが容易に作り出すことができたのと同じです。)

外国の政府も非政府機関もその他あらゆる任意団体も、中国政府と亡命チベット政府のいずれに対しても、政治的に肩入れすべきではない、と私は考えます。

チベット案件 ― 序


チベットの農奴制はダライ・ラマ5世までのダライ・ラマによって確立されました。そして、20世紀前半まで、ダライ・ラマは農奴制に支えられた僧侶と貴族の頂点に君臨していました。

中国によるチベットでの暴動鎮圧のやり方はもちろん良くありませんが、ダライ・ラマの亡命政府がチベットに戻っても、やっぱりチベット人は幸福になれないような気がします。

中国政府への抗議が亡命チベット政府への支持を多分に含んでいると、チベットは再び封建農奴制の時代に逆戻りするかもしれません。国民の30%しか小学校教育を受けられなかったチベットのあの時代は、自由主義や民主主義の理想とは全く相容れません。

ダライ・ラマに肩入れすることには、農奴制について肯定的あるいは妥協的な立場に身を置くという危険性があります。

理想をいえば、チベットの将来のために、中国からの干渉と亡命チベット政府からの干渉の両方を、チベットから排除しなければなりません。

伝達処理コストと思考処理コスト


思考の中で、意味や機能が未解析の語句を保持する部分を「スタック」、解析済みの語句を保持する部分を「ヒープ」と呼び、会話において、「伝達処理」を「音声で伝えられた情報を語句に変換してスタックに渡すこと」、「思考処理」を「スタックを管理し、積まれた語句を解析し、ヒープに渡すこと」と定義します。

伝達重視言語では、伝達処理コストが小さく、思考処理コストが大きくなります。

英語は強い伝達重視傾向を示していて、

  • I drew a map.(私は地図を描いた。)
  • I drew the veil over my face.(私はそのベールを顔に被った。)
など、動詞が目的語とする名詞の種類によって多様に意味と作用を変化させます。ここで重要なのは、伝達処理で「I drew」までをスタックに渡した時点で、思考処理側では「drew」の意味を全く処理できず、スタックに「drew」という具体的な意味と作用が未定の動詞を積んでおかなければならないことです。

「I drew a map.」で実際に作用の直接対象になっているのは隠れた「a pen」と「a sheet of paper」であり、「a map」は「drew」が「a pen」と「a sheet of paper」に作用した結果です。

比較すれば、「I drew the veil over my face.」では、「the veil」は作用の直接対象になっています。しかし、「I drew the veil」まで処理した時点でも、「the veil」は作用の結果である可能性が残ります。

  • I drew the veil ―(私はそのベールを描いた(?))
    →I drew the veil over ―(私はそのベールを最初から再び描いた(?))
     →I drew the veil over my face.(私はそのベールを顔に被った。)

「the veil」に「drew」がどのように作用するのかは、「my」がスタックに渡されるまで未定です。そのため、スタックの管理に大きな思考処理コストがかかります。

伝達処理コストが大きい日本語やその他の思考重視言語では、伝達を定型化することで伝達処理の効率を上げたがる傾向があり、人間関係が密接な社会が生まれやすい。思考処理コストの大きい英語やそのほかの伝達重視言語では、思考を定型化して思考処理の効率を上げたがるので、大がかりな哲学が生まれやすい。

言語学の長年の歴史で、言語に全体的な優劣をつけようという研究は全て失敗に終わっています。おそらく、どの言語においても、伝達処理コスト + 思考処理コストは全くあるいはほぼ同じなのでしょう。

投下労働価値説のS&B、試案と序論


(S&BはScratch and Buildの略で、これまで構築してきたものをいったん破棄して、最初から作り直すことです。)

まずは用語を定義することから始めます。

「価値」 … 財の効用の大きさ。

「価格」 … 公平な市場での取引を介し、財の価値を通貨で相対的に表したもの。

「事業サイクル」 … 事業の1回の回転のことである。多くの場合、現金の受け取りと分配を含む。事業サイクルを完了させなければ、事業は継続成長できない。

「労働力」 … 事業サイクルへの参加する人の労働能力の諸要素の総和。資本家が労働者から買う労働力は、資本家にとって人件費として量化され、労働者にとっては報酬として量化されうる。また、資本家自身も事業計画や事業経営という形で労働力に加わり、事業サイクルに参加している。

「労働」 … 価値の創造に投下されたもの。1つの事業サイクル全体に投下された労働は、事業サイクルの終点での産物の価値から、事業サイクルの始点での資源の価値を差し引いたものに一致する。生産量が2倍になっても、創造された価値が生産量に比例して増えなければ、投下された労働も生産量に比例しない。需要に対する生産の過剰分は価値の創造にはならず、よって、労働にもならない。

「利益」 … 事業サイクルから人が受け取る価値。ドイツ語では「Verdienst」、英語では「profit」

「利潤」 … 事業サイクルから人が受け取る価値から、事業サイクルに人が投じたその人自身の労働を差し引いたもの。ドイツ語では「Gewinn」、英語では「gain」。

「搾取」 … ある人が事業サイクルで創造した価値よりも、その人が事業サイクルから受け取る価値が小さい場合、その人は搾取されている。逆であれば、その人は誰かを搾取している。


労働単位をuで表すとします。

平均的な労働者が家庭で4uの価値を生み出すことができ、工場で働けば10uの価値を生み出して8u相当の報酬を通貨で受け取ることができるとします。

資本家の労働分が20uであるとしましょう。

資本家が100人の労働者を雇うと、労働者から受け取る利潤は+200uになり、自らの労働投下分で差し出す利潤は20です。よって、資本家にとってのサイクル終端での最終利潤は
200u − 20u = +180u
になります。

労働者は工場で働くことで、利益を4uから8uに増します。しかし、10uの価値を叩き出すのに8uの報酬しかもらえていないのですから、自らの労働について利潤は−2uになります。ただし、資本家から20の1/100にあたる+0.2uの利潤もありますから、最終利潤は−1.8uのということになります。

資本家の利潤と労働者の利潤を足してみましょう。

180 + ((−1.8) × 100) = 0

利潤は全体でゼロサムになります。事業サイクルへの参加者全員の利潤が0を超えることはありません。


資本家は労働者を超える速度で富を蓄積しますが、労働投下効率の向上による事業の成長速度が十分に大きい場合、労働者は搾取されつつも富を蓄積して豊かになっていきます。しかし、労働者はほぼ常に搾取されているので、資本家と労働者の格差は広がっていくばかりであり、どこかで政体が何らかの調整をしなければ、経済は広がりすぎた格差により破綻に向かうことになります。