家庭用ゲーム機の興亡から考える計画経済の功罪 

アタリ社が出した家庭用ゲーム機は一時はとても売れましたが、参入条件をあまりに野放図にしていたため、粗悪ゲームが大量に出回り、ゲーム機が売れなくなるなりました。これがいわゆるアタリショックです。計画しないと失敗することがあります。

任天堂はゲーム制作会社を厳しく査定することで、アタリショックの再来を回避しました。市場の側から見ると、任天堂は需要のあるゲームを作らせることに成功したことになり、労働価値説の側から見ると、任天堂は労働の投下の効率性を上げたことになります。計画したほうがうまくいくことがあります。

ゲームの需給市場が成熟し、ゲーム雑誌でゲームについての情報が十分に得られる時代になると、参入資格が緩やかで、個人にも安価な開発環境を提供するソニー陣営の方に人気が集まり、ソニープレイステーションが任天堂スーパーファミコンよりも基本性能が高かったこともあり、業界で最高水準の技術を持っていたスクウェアなどを始めとする多くのゲーム制作会社がソニー陣営に鞍替えしました。計画しなくてもうまくいくならば、計画しない方がいい。

最近の任天堂は若年層とかつてはゲームをしなかった人々にゲーム市場を拡大し、再びゲーム業界を牽引するようになりました。ゲーム雑誌を読まない層のためには、やっぱり計画したほうがいい。

結論としては、もはや自明に近い、計画すべきことは計画すべきだし、計画しなくてもよさそうなことは計画しない方がいいかもしれない、ということに尽る。しかし、ここからがまた難しい。計画すべきだということがはっきりするまでは計画しない方がいい、という考え方と、計画しなくてもいいということがはっきりするまでは計画したほうがいい、という考え方の間には、かなり幅の広い溝があります。


[2008/03/12 10:15] 経済思想と経済実体 | TB(0) | CM(3)