懐古的徴兵制復活論に対する批判 

東国原のこととかあったから、これを書いている。

スイスの徴兵制についての記事から引用する:

スイスの男性市民は18歳になると、兵役を務められる能力があるかどうかを調べる身体検査が義務付けられている(女子には兵役義務が免除されている)。そこで不可能と診断されると兵役免除となるが、それ以外は15週の兵役訓練を受ける。36才まで数年毎に補充講習を受け、18歳から数えて計260日間の兵役につかなければならない。過去、国防関係者が徴兵制を廃止するために国民投票を2度発議したが、否決された。しかし、国防相が最近、再三、職業軍人制度への移行を訴えている。良心的兵役拒否は認められている。ちなみに、アインシュタインはスイス国籍をアメリカに行く前に取得していたが、「扁平足」であることを理由に兵役を免除されている。

とまあ、ヨーロッパの男子皆兵制国家スイスでは、政府の側で徴兵制廃止を唱えているが、国民の支持を得られていない。スイス人の頭の中では、徴兵制は市民の義務というだけでなく、ある種の権利だとも捉えられていると想像できる。

フランスも1990年代には徴兵制があった。フランスの徴兵制は市民が王制を打倒し、武装権を手に入れたことに由来するので、これも、まあ、ある種の権利と見なされていたんだね。アメリカもボストン茶会事件から武装市民が独立を勝ち取ったんだから、徴兵制には権利としての側面もある。

日本やイギリスのように、君主制が残っている国家では、最初から徴兵制はなじまない。歴史的には、軍務に服するのは平民より高い地位にある士族、貴族、王族、皇族で、立憲君主制と徴兵制が同期間に併存したイギリスでは、良心的兵役拒否が当然認められていた。

日本での徴兵制は、軍事の実用面からも国家体制の道義面からも無理がある。天皇制廃止とセットで唱えている人を除けば、徴兵復活論者に良心を感じることはない。

自民党がちょくちょく個別議員を通じて徴兵制復活を唱えるのは、徴兵期間内に自民党的な思想を注入することが狙いなのだと思う。自民党は票田として陸上自衛隊を異常に肥大化させてきていて、懐古的徴兵制復活論はその延長線上にある。徴兵制があったころの日本人は政治的に今よりずっと馬鹿だったので、政府が国民を騙しやすかった。そしてついに、政府までも騙されやすい人たちばかりで構成されるようになったほどにね。


[2008/01/19 15:07] 無分類 | TB(0) | CM(0)