経済思想と経済実体 ― 負の所得税+フラット17 

負の所得税は、納税額 = ( 所得額 − 平均所得額 ) × kとする制度で、ここではとりあえずkをこの種の議論で一般的な0.5としよう。納税額が負の値になったら、それはもちろん、その絶対値の額を受け取るということを意味する。フリードマンの考えである。

フラット17は所得の額にかかわらず、17%を納税するということで、もともとはアメリカ共和党に古くからある考えだが、フリードマンにも支持されている。

フリードマン的な税制は、負の所得税+フラット17ということになる。

最高税率は限りなく67%に近づく。

GDPが500兆円、成人人口が1億の社会で、負の所得税+フラット17による再分配の効果を考えてみる。「当初所得 → 再分配後所得」で表すと

  • 100万円 → 283万円
  • 1000万円 → 580万円
  • 1億円 → 3550万円
となる。

年収1億円の人はずいぶん多く税金を支払っているように見えるが、国民健康保険料、年金積み立て、固定資産税、消費税、物品税、揮発油税、重量税などは一切なくなるから、最初の不満は驚きと満足に変わるだろう。

一般政府本体の予算はフラット17から入ってくる85兆円である。これは地方自治体を含めての政府の予算だ。徴税の段階で基本的な配分の中身は既に決定済みになるので、行政コストは激安になり、一般政府は小さくても大丈夫である。

この85兆円の一般政府に何を望むのかは、有権者の「選択の自由」になる。国民健康保険制度は維持可能だが、失業中夫婦の年収最低が500万円になる社会で、国民健康保険制度がなお望まれつづけるかどうかは疑わしい。


[2007/11/21 19:58] 経済思想と経済実体 | TB(0) | CM(0)