search this site:

Chaotic Neutral

左にも右にもよらず、自由な生き方探し。

衆院選2009 ― 民主党のマニフェストについて


manifesto_2009.pdfより引用
事務次官会議は廃止し、意思決定は政治家が行う。

良くも悪くも思い切りこそが、挑戦者である民主党にはふさわしい。事務次官会議の廃止は悪くない。ただし、政治方針決定後の実務上の効率では政治家は官僚に劣ることもあり、これは単に政治家を省庁に配置するだけでは解決しない。アメリカを参考にすると、各議員が政策秘書を40人くらい抱えて、ようやく政治家の実務能力は官僚のそれに匹敵するものになると思われます。
引用
天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。

この効果には疑問の余地があります。天下りや渡りを支えているのは、官僚と元官僚の間の人間関係です。人間関係を法律により消滅させることできないから、斡旋の禁止は必ず有名無実化するでしょう。

解決法があるとするならば、事務官から局長級に至るまでを全て政治任用するしかありません。かつで鳩山代表はそういう見解を表明していたと思いますが、それはどこに行ったのでしょうか?


引用
事務次官会議は廃止し、意思決定は政治家が行う。

「原則として」を見落としてはいけない。

不採算区間から入ってきた自動車が、高採算有料区間を通るならば、収益構造は維持可能だ。

高速道路の原則無料化は天下り先を減らし、税金の無駄遣いを小さくする効果もある。有料区間の設定次第では、税負担が増えることもない。


引用
国の総予算207兆円を徹底的に効率化。ムダづかい、不要不急な事業を根絶する。

この提案で、民主党は、平成25年に16.8兆円を絞りだせるとしています。

軍事費に国家予算の半分を使うアメリカでも何とかやっていけているので、207兆円から16.8兆円を絞りだすのはそう無理だとは思えない。平和憲法と軍事予算制限が予算に無駄使いの余地を与えてきただけなので、政治が本気になれば無駄遣いをやめることは可能です。


引用
公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生には年12~24万円を助成します。

私立高校にはすでに助成金がありますから、そこに通う学生まで助成する必要はないと思います。

リベラル派としては、国家権力からある程度隔絶された環境で育つ人材も用意しておきたいところなんでしょうが、本筋は公立高校をもっとリベラルにすることです。


引用
「納めた保険料」「受け取る年金額」をいつでも 確認できる「年金通帳」を、全ての加入者に 交付します。
年金保険料の流用はさせません。
年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。

いずれも良案であり、実現も難しくない。

自民党もそうすればよかったのに……


引用
国直轄事業に対する地方の負担金は廃止します。

これは、まぁ、大阪府の橋下知事あたりにとっては嬉しい見解かもしれません。

しかし、地元負担金がゼロになれば、地元にとって、直轄事業誘致はゼロリスクでリターンが見込めるビジネスになってしまいます。


引用
畜産・酪農業、漁業に対する所得補償と林業に対する直接支払いの導入を進めます。

「所得補償」については手放しでは喜べない。

ゼロリスクのビジネスは必ず歪みを生みます。

例えば、絶対に儲かる株式会社ができてしまうのです。


同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等にして、仕事と生活の調和を進めます。

公明党のそれと同じく大胆な提言です。

個人的に実現してほしいと思っていますが、日本人の意識改革が必要になるので、4年間で実現するのは難しい。


引用
2020年までに温暖化ガスを25%削減(’90年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。

排出量取引市場創設には賛成します。

衆院選2009 ― 公明党のマニフェストについて


manifesto2009_forweb.pdfより引用
直面する経済危機を克服するための構造改革のエンジンとして、「環境・農業・社会保障(医療・介護など)、新たな社会資本整備、教育等」を推進し、新たな経済成長を生みだします。

実は、ロバート・フェルドマンが構造改革の一環として社会保障の拡充を説いている。社会保障の拡充が構造改革に必要という点は似ている。この考え方は自民党内では今のところ主流ではなく、公明党のほうが先見の明があると思います。

引用

安心社会を実現するために、生活の基礎である雇用を「軸」とした施策の充実、そして、あらゆる世代のセーフティーネットの基礎である社会保障制度の「ほころび」を修復するなど、施策を強化してまいります。

このあたりの考え方は、先の参院選のときから民主党により唱えられてきたこととほぼ同じです。今更私がこんなことをいっても間に合わないが、公明党は自民党との連立を解消し、民主党と組んだほうが分かりやすかったと思います。


引用
正規と非正規の働き方によらず、同一労働に対し、同一賃金・同一処遇が保障される。

これは極めて大胆な提案です。

同一労働、同一賃金ということは、正規従業員の賃金に下げ圧力が、非正規従業員の賃金に上げ圧力がかかることになります。非正規従業員が多くなった日本でも、非正規比率は1/3くらいで、まだまだ少数派です。

日本の正規従業員は過剰に保護されていることが、非正規比率が大きくなったことの原因ですから、このひずみを是正すれば、社会における格差問題は縮小します。

しかし、多数派である正規従業員にとって、公明党のこの提案が実行されれば損になりますから、選挙での追い風にはなりにくそうですね。

衆院選2009 ― 自民党マニフェスト原案について


なかなか最終版がでてこないので、焦れてしまいました。原案でも読んでみることにします。


http://sankei.jp.msn.com/politics
/election/090730/elc0907300131001-n1.htm
より引用
救急医療や産科・小児科・へき地医療の担い手の勤務医を確保する。診療報酬は、救急や産科を始めとする地域医療確保のため、来年度プラス改定を行う。

悪くはありませんね、このプラス改定は。しかし、根本的な問題の解決は難しくありましょう。足りない診療科目については、動的に診療報酬が上がっていく仕組みを作らなければ、不足は解消されません。


引用
就学援助制度や新たな給付型奨学金を創設。

給付型奨学金については賛成します。経済は長らく不調なので、卒業できても就職がうまくいくとは限りませんから。


引用
介護報酬の3%アップ、介護事業主に職員一人あたり給料月額1・5万円引き上げ相当額を助成する。

たった3%ではダメでしょう。そんなことでは、介護の仕事から人材流出は今後も続くと思います。


引用
日本型ワークシェアリングを強力に進める。今後3年間でおおむね200万人の雇用確保を目指し、医療、介護、保育、環境などの成長分野で雇用を創出する。

ワークシェアリングには賛成ですが、「日本型」ってのはなんでしょうか?

西ヨーロッパ先進諸国には及ばなくても、「日本型」で正当化するつもりなんでしょうか?

「日本型」なんてつけないほうが恰好が良かったと思います。


引用
3年間で100万人の職業訓練を実施する。
70歳はつらつ現役プランを構築し、50歳から定年後の教育訓練、就労希望の高齢者の知識、技能を登録するシニア・エキスパート・データベースを構築。

このあたりには、自民党だけではなく、日本の政治全体の時代遅れな発想が反映されています。100万人の職業訓練は大いに結構ですが、それでも就労につながらなければ役には立ちません。

失業のかなりの部分は、労働者本人の責任と能力の範疇を超えたところにある原因、例えば、金融危機や景気低迷にありますから、どう頑張ってもある程度の数の人々は失業します。そういう人々の生活を支えていくには、基礎所得制度や負の所得税制度が必要です。

現行の制度では、生活保護を受けるには、就労努力の結果が実らなかったことを証明せねばなりません。就労努力にはコストが必要であり、そのコストを支払えない人が生活保護を受けるのは難しい。必要な制度は、今そこにいる所得のない人を漏れなく救える制度です。


引用
歴史・文化伝統を重んじる教育の実践。

もちろん、伝統偏重教育に私は反対します。グローバル化が進み、変化の激しい現在においては、過去の世代の経験は未来に待ち受ける問題への対処に余り役には立ちません。伝統重視の自民党政治が機能不全に陥っているのは、そういう一般的な真理の具現にほかなりません。

これからの世代に必要なのは、充実した普遍的能力と可能な限り無偏向な発想傾向です。例えば、数学や物理学の教育に力を入れるのは有益ですが、愛国心教育などは有害です。愛社精神の強すぎる社員ばかり揃っている会社は大きく躓きます。愛国心の強すぎる国民ばかりの国でも同じでしょう。国の欠陥に気がつくためには、かなり冷静な心性が必要です。


引用
来年度後半には年率2%の経済成長を実現、10年で家庭(世帯)の手取りを100万円増やし世界トップクラスに引き上げることを目指す。
太陽光発電を抜本的に拡大し、平成32年(2020年)に20倍、同42年(2030年)に40倍にすることを目標とし、太陽光世界一の座を獲得する。

こういうのはマニフェストではありません。

年率2%の経済成長や太陽光発電世界一を実現するために、政権が何をやるつもりなんでしょうか?


引用
中小企業向け官公需契約目標額を昨年度実績から1兆円以上増額した約5兆1993億円とする。

目標の設定だけならば、誰にでもできます。

必要なのは、ありとあらゆる官公需契約を一般競争入札を経たものにすることでしょう。


引用
来年度後半には年率2%の経済成長を実現、10年で家庭(世帯)の手取りを100万円増やし世界トップクラスに引き上げることを目指す。
太陽光発電を抜本的に拡大し、平成32年(2020年)に20倍、同42年(2030年)に40倍にすることを目標とし、太陽光世界一の座を獲得する。

これらにも具体案は何もありません。

本当に太陽光発電世界一の座を目指すのであれば、電力会社に太陽光発電による電力の買い取り義務を課すしかありません。


引用
経済危機を乗り切るため、この3年間は積極的な財政出動を行い、社会資本の前倒し整備を進める。空港・港湾や高速道路などの基幹ネットワークを整備する。

そんなのやっても駄目です。

日本経済に構造的な問題の1つは、多すぎる土木業者です。土木業者を救うために税金をつぎ込めば、構造的な問題は克服されずに残ってしまいます。必要なのは、税金のもっと社会福祉につぎ込み、土木業のような肥大化した産業の敗者に業種転換をさせることです。

土木産業全体の縮小が実現しなければ、今後も変わらずに無駄な税金をつぎ込み続けることになるでしょう。


引用
日米同盟関係を強化。米軍再編を着実に実施、沖縄をはじめとする地元の負担を軽減する。

日米同盟関係を強化することと、基地を抱える地元の負担を軽減することは矛盾しています。

また、長い目で見れば、日米同盟関係はむしろ縮小しなければなりません。アメリカの経済力は世界の中で相対的に縮小していますので、軍事力もまた相対的に縮小するでしょう。日本の今後の安全保障には、二国間同盟だけではなく、多国間同盟が必要です。

アメリカと日本、アメリカと韓国は同盟関係にありますから、まずは手始めとして、日本と韓国の間に同盟関係を構築し、北朝鮮と韓国の間の溝を広げるのが良くありましょう。


引用
公務員は連続3年間「不良」の場合は分限免職処分とする。ヤミ専従や違法な政治活動などの不正をした公務員と上司、見逃していた周辺を処分する。

これはとても良い提案です。仮に民主党が政権を獲得しても、この部分については自民党のマニフェスト原案を実行して欲しくあります。


引用
引退する議員の配偶者および3親等内の親族が同一選挙区で立候補する場合は、次々回の衆院選から公認・推薦せず、世襲候補を制限する。
引退する議員の後継者は資金管理団体への政治資金の継承を禁止する。

これは意味がよくわからない。「次々回」の衆院選から公認・推薦しないのであれば、「次回」までは公認・推薦することになるのでしょうか?

つまり、世襲後最初の選挙までは自民党が支援するのでしょうか?

それならば、この部分は全くマニフェストになっていません。マニフェストでは今回の選挙とその次の選挙の間に行う項目を提示しなければなりません。

政治資金の継承禁止には大いに賛成します。政治資金は個人の財産ではありませんから、相続されるべきではありません。