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Chaotic Neutral

左にも右にもよらず、自由な生き方探し。

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チベット案件 ― 見解の再掲


blog-entry-953.htmlでも述べましたが、再度述べておきます。

外国の政府も非政府機関もその他あらゆる任意団体も、中国政府と亡命チベット政府のいずれに対しても、政治的に肩入れすべきではない、と私は考えます。

(西ヨーロッパ諸国もアメリカも、ほぼ同じ見解を持っていると思われ、それは「対話を促す」「オリンピックは政治行事ではないと思う」などの発言に表れています。)

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チベット案件 ― 資料目録 ― I


対立している二者ではなく、第三者の見解のほうが中立性が高く、より真実に近いと思われます。チベット亡命政府も中国政府も相当に嘘吐きですから、チベット案件について正確な判断には、主にアメリカやヨーロッパの知識人の見解を重視するのがよいと思われます。

Heinrich HarrerのSeven Years in Tibetが目録に含まれないのは、彼が旧チベット体制と親密な仲にあったナチス党のSSであったからです。

Melvyn C. Goldstein, The Snow Lion and the Dragon: China, Tibet, and the Dalai Lama (Berkeley: University of California Press, 1995) ― 仏教徒の一般的な性格についても言及している書です。著者は基本的にチベットの独立を支持してはいるものの、チベット人民に対する中国の貢献も高く評価しています。

Mark Juergensmeyer, Terror in the Mind of God, (Berkeley: University of California Press, 2000) ― 補助的資料。

Pradyumna P. Karan, The Changing Face of Tibet: The Impact of Chinese Communist Ideology on the Landscape (Lexington, Kentucky: University Press of Kentucky, 1976) ― どちらかといえば旧チベット体制に同情的ですが、それでも農奴制についての言及を含みます。

Stuart Gelder and Roma Gelder, The Timely Rain: Travels in New Tibet (New York: Monthly Review Press, 1964) ― 旧チベット軍の長の権力などについて書かれています。農奴に対する課税システムについても書かれていて、項目も列挙されています: 結婚、出産、死去、植樹、家畜、花瓶、家畜の鈴、宗教儀式、歌うこと、踊ること、太鼓を鳴らすこと、刑務所への入所、刑務所からの出所、失業、隣村への移動。払えなければ年利20~50%の利息が課せられたとか。また、2頭の羊を盗んだ罪で、僧侶の指示により、目をくりぬかれ、手をつぶされた農奴の話もあります。

Melvyn Goldstein, William Siebenschuh, and Tashì-Tsering, The Struggle for Modern Tibet: The Autobiography of Tashì-Tsering (Armonk, N.Y.: M.E. Sharpe, 1997) ― 寺院で性的虐待を受けた子供たちについて書かれています。Tashì-Tsering自身も被害者です。

Anna Louise Strong, Tibetan Interviews (Peking: New World Press, 1929) ― 旧チベットでの被支配階級の人々の多様な証言をまとめたもの。当時の人口の過半数が農奴で、農奴たちは売買、虐待、殺害の対象であったなどことが書かれています。内容は極めて陰惨です。

Melvyn C. Goldstein, A History of Modern Tibet 1913-1951 (Berkeley: University of California Press, 1989)

A. Tom Grunfeld, The Making of Modern Tibet rev. ed. (Armonk, N.Y. and London: 1996) ― 旧体制のチベットで刑罰により手足を失ったチベット人を数多く目撃した西洋人の話があります。

George Ginsburg and Michael Mathos, Communist China and Tibet (1964) ― 旧支配層を憎むチベットの大衆が人民解放軍を支援したため、CIAによるチベット独立工作が頓挫した、とするHugh Deaneの分析が含まれています。

Felix Greene, A Curtain of Ignorance (Garden City, N.Y.: Doubleday, 1961) ― 中国共産党政府によるチベット農奴解放などについて。

チベット案件 ― 中国共産党のしぶとさの理由


まあ「高度な自治」そのものはいいんですが、「高度な自治」はチベット人民による自治であり、ダライ・ラマと貴族による封建的支配は「高度な自治」にはならない。ダライ・ラマがパンチェン・ラマを担ぎ出した人民解放軍に追い出されるまで、チベットには首に縄をかけられた状態で働かされていた農奴 ― ナショナル・ジオグラフィックスなど、欧米メディアによる記録映像があります ― がいました。これも人権弾圧。ダライ・ラマはチベット人の大多数の間では不人気です。だから、デモの規模も人口の割に非常に小さい ― 昔、朝鮮半島で起こったサンミル運動と人口あたりの規模で比べれば、1/40にもならない ― し、先進国の首脳たちにはまるで相手にされていない。「対話を促す」という発言が出てくるだけです。

中国共産党が様々な人権弾圧を行っているのもまた事実ですが、中国共産党が別の人権弾圧から多くの人々を救ってきたのもまた事実。中国についての諸問題を考える際に、多くの論客はこの点を見過ごしてしまいます。

例えば、文化大革命で死んだ人は3000万人いるといわれていますが、文革で救われた人も少なくない。文革以前、中華民国の時代にすら、中国には纏足の伝統があり、女児の足を布でくるみ、石で打って骨を砕き、足の成長を抑制したものです。目的は、将来に成長した女児たちを地元の有力者の妾にするためだったりとか。纏足のショックや敗血症による死も少なくなかったはず。文革で死んだ人の数から、文革で救われた人の数を差し引くと、もしかしたらマイナスになるかもしれません。

中国は共産党のせいでひどい国になったのではなく、もともとひどい国でした。中国共産党が巨大な人口に支持されて久しいのは、中国の歴史上での以前の政体の支配と比べ、中国共産党の支配がずっとマシだからです。

中国共産党による人権弾圧に対する批判は、中国共産党によって救われ、守られている人々の現状を、中国共産党に代わって保護できる提案を含まなければ、中国国内では支持されない。中国共産党に対する批判がチベットの多くの人民に支持されないのは、それが例えば元農奴の現在の身分と財産の保護を含んでいないからです。

チベット案件 ― ダライ・ラマ


(転生を信じようと信じるまいと、ダライ・ラマを語る上で、転生のことは避けて通れません……なぜならば、)

ダライ・ラマ自らが、転生を世俗の政治のおいても、権威と権力の源としているからです。ダライ・ラマ5世と14世が同一人物であるという主張の科学的(あるいは、超科学的)証明の成否にかかわらず、14世自らが5世と同一性を政治的に主張したからには、5世までのダライ・ラマが作った農奴制を何とかする責務を自ら引き受けていたことになります。

また、逆に考えると、チベットがイギリスや中国の支配に屈してきたことには、チャールズ・ベルやシモーヌ・ボーヴォワールの手記などによって、農奴制の実態が外国にも知られるようになったことが影響しているとも考えられます。イギリスや中国はチベットを実効支配することを正当化できる理屈を容易に作り出すことができたのです。(これは、クウェートに侵攻したり、クルド人を虐殺したフセインが独裁的に支配するイラクを攻撃する理由を、アメリカが容易に作り出すことができたのと同じです。)

外国の政府も非政府機関もその他あらゆる任意団体も、中国政府と亡命チベット政府のいずれに対しても、政治的に肩入れすべきではない、と私は考えます。

チベット案件 ― 序


チベットの農奴制はダライ・ラマ5世までのダライ・ラマによって確立されました。そして、20世紀前半まで、ダライ・ラマは農奴制に支えられた僧侶と貴族の頂点に君臨していました。

中国によるチベットでの暴動鎮圧のやり方はもちろん良くありませんが、ダライ・ラマの亡命政府がチベットに戻っても、やっぱりチベット人は幸福になれないような気がします。

中国政府への抗議が亡命チベット政府への支持を多分に含んでいると、チベットは再び封建農奴制の時代に逆戻りするかもしれません。国民の30%しか小学校教育を受けられなかったチベットのあの時代は、自由主義や民主主義の理想とは全く相容れません。

ダライ・ラマに肩入れすることには、農奴制について肯定的あるいは妥協的な立場に身を置くという危険性があります。

理想をいえば、チベットの将来のために、中国からの干渉と亡命チベット政府からの干渉の両方を、チベットから排除しなければなりません。

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